ノリス、ピアストリ躍動のイギリスGP

優勝したフェルスタッペン(左)と、大健闘の末、2位に入ったノリス

マクラーレン勢が躍動した週末だった。昨年のイギリスGPを見たとき「これだけ激しいバトルはもう見られないかもしれない」と思ったが、スタートでのノリスの首位奪取、終盤のノリス対ハミルトンなど、今年も見どころたっぷりのレースだった。

ノリスがスタートで首位奪取、ピアストリも好バトル

ウェットからドライに変わった予選でノリス2位、ピアストリ3位。マクラーレンは今回ノリスに投入したアップデートが当たった。代表のザク・ブラウンは大きな体で喜びを表し、クルー1人ひとりと喜びを分かち合った。

翌日の決勝でもノリスがスタート一閃、素晴らしい加速を見せ、ポールポジションのフェルスタッペンの前に出た。

スタートでノリスが首位を奪い、ピアストリもフェルスタッペンに並びかかる

ピアストリの攻撃もすばらしく、3コーナーからコプスにかけて、フェルスタッペンを攻略寸前まで追い込んだ。シーズン序盤はマシンに苦しんだ新人が、ついに王者相手に大器の片りんを見せた。

フェルスタッペンは5周目にノリスを抜いて首位を取り戻し、徐々に差を開いていった。

マグヌッセンのストップによりセーフティーカー(SC)が入ったが、38周目の再スタートもフェルスタッペンはうまく加速し、ハードタイヤを履くノリスを寄せ付けなかった。

ノリス対ハミルトンがハイライトに

終盤のハイライトはノリスとハミルトンの2位争いだった。

40周目のブルックランズからルフィールドにかけてハミルトンがノリスに並びかけるが、ノリスはコプスにかけての旧ホームストレートの加速でこらえ、ハミルトンが前に出るのを防いだ。21年の対フェルスタッペンを思い出す攻防だったが、今回はハミルトンが退いた。

SC後のレースのハイライト、ノリスとハミルトンの攻防

セーフティーカーにより差が詰まった各車は激しいバトルを繰り広げたが、フェルスタッペンだけは悠々と首位を快走した。

フェルスタッペンは5戦連続のポール・トゥ・ウィン。レッドブルも昨年のアブダビから11連勝となり、1988年のマクラーレンの連勝記録に並んだ。

表彰式前の待機ルームでは仲の良いフェルスタッペンとノリスが互いの好成績を喜び合い、ハミルトンも談笑の輪ににこやかに加わった。ハミルトンは1シーズン半、優勝から遠ざかっているが、好レースを演じた後の笑顔が実に魅力的になった。

レース後のノリスとハミルトン。こののち5位ラッセルも加わり、英国人3人で健闘をたたえあった

ピアストリはタイヤ交換がSC前だったことから1つ順位を落とし、4位でゴール。シーズン序盤に低迷したマクラーレンは今回の1戦で30点稼ぎ、オーストリアまでの累計を超えるポイントを獲得した。

不振にあえぐフェラーリ、アルファタウリ、そしてペレス

去年の主役だったフェラーリはずるずると順位を落とし、ルクレール9位、サインツ10位。アストンマーティンもやや不発で、アロンソは7位に終わった。アルファタウリも大幅アップデートが実らず角田裕毅16位、デ・フリース17位に沈んだ。

ペレスはまたも予選Q2進出を逃し、決勝も6位に終わった。ランキング首位のフェルスタッペンとのポイント差は99点に広がった。

ペレスはマイアミでの逆転負け後、完全にスランプに陥ったように思える。決勝のペースよりも予選の凡ミスが足を引っ張っており、メンタルの状態が心配だ。

ごくわずかだが、鈴鹿でタイトル決定の可能性も?

フェルスタッペンとペレスのポイント差拡大で、ごくわずかだが鈴鹿でのタイトル決定の可能性が出てきた。

カタール以降の6戦の最大獲得ポイントは180点(優勝6回=150点、FLポイント最大6点、スプリント勝利3回=24点)。フェルスタッペンがハンガリーから日本までの6レースと、ベルギーのスプリントでペレスをあと81点引き離せば、2年連続で鈴鹿でタイトルが決まる。

1戦あたり14点差をつける必要があるため、かなり無理のある推定だとは思うが、最近のペレスの不振をみるとありえないとは言い切れない。リタイアがあればポイントは大きく動く。フェルスタッペンのタイトル確定はカウントダウンに入ったのだろうか?